【AI活用術】Geminiは魔法の杖ではない。「伝える難しさ」とそれを乗り越えるための対話テクニック

「AIに頼めば、あっという間にシステムができる」
世間ではそう言われていますが、実際に数ヶ月にわたってGeminiとペアプログラミングを行ってきた私の実感は少し違います。

AIは優秀ですが、決してエスパー(超能力者)ではありません。
こちらの意図が伝わらず、エラーの迷宮に迷い込むことも一度や二度ではありませんでした。

今回は、私が業務アプリ「NSRA-KEIRI」の開発を通じて痛感した「AIに伝えることの難しさ」と、それを乗り越えるために編み出した「打開策(コミュニケーション術)」について共有します。

目次

  1. Geminiは「察して」くれない:開発現場のリアル
  2. 壁その1:長くなるほど「記憶」が曖昧になる
  3. 打開策:「共有情報の再定義」というテクニック
  4. 壁その2:回答の無限ループ
  5. 打開策:人間側が「視点」を変えて提案する
  6. まとめ:AI時代に必要なのは「翻訳力」と「忍耐力」

1. Geminiは「察して」くれない:開発現場のリアル

Geminiとのやり取りは、非常に優秀な、しかし「少し物忘れの激しい新入社員」への指示出しに似ています。
基本的な知識は人間を凌駕していますが、文脈(コンテキスト)の理解には限界があります。

「いつものアレでやっておいて」
この言葉はAIには通用しません。毎回すべての環境(OS、言語のバージョン、現在のファイル構成など)を入力して問いかけるわけではないため、Geminiも不足した情報を「推測」で埋めて回答してきます。
この「推測」がズレた時、開発は停滞します。

2. 壁その1:長くなるほど「記憶」が曖昧になる

開発が進むにつれ、チャットの履歴は膨大になります。
すると、「以前このファイルを修正したはずなのに、なぜ古いコードを提案してくるんだ?」という事態が頻発します。

AIの記憶領域(トークン)には限界があり、古いやり取りは徐々に忘れられていくからです。
ここでイライラして「さっき言ったでしょ!」と怒っても、AIには届きません。

打開策:「共有情報の再定義」というテクニック

私が実践している解決策は、チャットが長くなったり、話が噛み合わなくなったりした時に、あえて立ち止まることです。

「今、共有化する情報は何ですか?」

そう問いかけ、現在のファイルの状況やエラーログ、実現したいゴールを改めて提示し直します。
「分かっているはずだ」という思い込みを捨て、定期的に前提条件をリセットする。この一手間で、Geminiの回答精度は劇的に回復します。

3. 壁その2:回答の無限ループ

エラーが発生し、Geminiに修正コードを書いてもらう。それを貼り付けるが、また同じエラーが出る。
「すみません、修正しました」とGeminiが新しいコードを出すが、よく見るとさっきと同じコード…。

この「無限ループ」にハマると、時間だけが過ぎていきます。

打開策:人間側が「視点」を変えて提案する

ループし始めた時、私はGeminiを信じるのを一時的にやめます。
「修正して」と頼むのではなく、自分でネット検索をしてヒントを探したり、エラーの視点を変えてみます。

  • 「コードではなく、設定ファイルが間違っているのでは?」
  • 「このライブラリのバージョンが古いのでは?」

このように、人間側から「こういう可能性はないか?」と提案することで、Geminiが「ハッ」としたように正しい答えを導き出すことが多々あります。

まとめ:AI時代に必要なのは「翻訳力」と「忍耐力」

AI開発は「全自動」ではありません。
こちらのやりたいこと(要件)を、AIが理解できる言葉に噛み砕いて伝える「翻訳力」
そして、伝わらない時にも感情的にならず、手を変え品を変えアプローチする「忍耐力」

この2つこそが、AIを有効に使うための必須スキルだと感じています。
Geminiは最強のパートナーですが、それを導くのはあくまで人間の役割なのです。